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by movie4life
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グラン・トリノ

妻に先立たれ、一人暮らしの頑固な老人、ウォルト・コワルスキー。息子たちとも疎遠な彼は、自動車工を引退してから、単調な日々を送っていた。そんなある日、隣に住むアジア系移民の少年タオが、ウォルトのヴィンテージ・カー「グラン・トリノ」を盗もうとする。それをきっかけに、2人の不思議な関係が始まる・・・。

「クリント・イーストウッド最後の出演作」との声もある、自ら監督・主演した感動の人間ドラマ。
イーストウッド演じるウォルトは、朝鮮戦争の従軍経験を持つ、孤独で偏見に満ちた老人である。アジア系移民の家族との交流を通して変化していく過程を、ユーモアを交えながら演じている。その演技は実に軽妙であり、同時に骨太でもある。
モン族の少年タオ役のビー・バンと、その姉スー役のアーニー・ハーは、本作がデビュー作である。デビュー作とは思えない、熱演を見せてくれる。
主題歌は、英国のジャズシンガー、ジェイミー・カラムとドン・ライナーの演奏とのことだが、胸に染みるような名曲だった。

本作のレビューだが、あまりにも素晴らしい映画の出来に圧倒されて、下手な感想は書けないと感じた。
だから、私なりの観点で拙い感想を書かせてもらいたいと思う。

まずは、ウォルトと彼の息子たちとの関係である。
ウォルトと息子たちとは、心が通い合っていない。息子からの電話も、父を気遣ってのものではなく自分の都合でかけているだけだ。
この親子関係の描写は、アメリカと同様に高齢化社会が進む日本での、私と父の関係を考えさせられた。私の父も「昔ながらの厳格な父親」で、同居していたときには、殆ど会話した記憶がない。父との関係が変わったキッカケは、私に息子が出来て、自分が父親になってからだ。父親の息子に対する気持ちが分かり、それ以降は父とも少しずつ会話が増えてきたと思う。しかし、普段どれだけ両親のことを気にかけているかというと、皆無と言っていいほど気にかけていない。ウォルトの息子同様、何か必要に迫られた時以外、電話をかけることもない。
この映画を観てあらためて、今後の両親への接し方を考えさせられた。

次に、ラストシーンについてである。
この映画のタイトルになっているフォード車「グラン・トリノ」が作られたのが、1972年。ちょうどイーストウッドが、「ダーティ・ハリー」シリーズで44マグナムを片手に、名声を確立した頃である。
クエンティン・タランティーノの映画「ジャッキー・ブラウン」の中で「香港映画の影響で、みんな45口径の銃をほしがるんだ、それも2丁。」というセリフがあった。もちろん映画はフィクションである。
しかし、実際のアメリカの銃社会で、映画の影響が皆無だったということはないだろう。
そんな暴力が蔓延したアメリカ社会に対し、イーストウッドの今までの全ての出演作品が、この映画の伏線だったのではないかと思わされる、静謐で素晴らしいラストシーンであった。
そのラストシーンのメッセージを、私はしっかり受け止めたいと思う。

美しいボディと、腹に染みるエンジン音を響かせる1972年製のフォード車「グラン・トリノ」。
アメコミ映画と子供向けアニメ、安易な続編映画、リメイク作品が興行成績の上位を占めるアメリカ映画の中で、イーストウッドが撮った傑作「グラン・トリノ」。

「アメ車とアメリカ映画の心意気」を改めて見せられた、いつまでも心に余韻が残る映画だった。
評価:★★★★★
>>公式サイト
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by movie4life | 2009-05-31 00:19 | カ行