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by movie4life
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レイチェルの結婚

コネティカット州。長女レイチェルの結婚式を2日後に控えたバックマン家に、薬物依存症の治療施設を退院した次女キムが9ヵ月ぶりに家に帰ってくる。だが、一家の厄介者であるキムが帰宅したことにより家族内の様々な問題が浮かび上がってくる・・・。

ジョナサン・デミ監督が、ある一家の結婚式前後の数日間をドキュメンタリータッチで描いた作品。
キム役のアン・ハサウェイが、今までの出演作の役柄とは違う、複雑な感情や葛藤を抱えたキャラクターを熱演している。
レイチェル役のローズマリー・デウィットが、時にはキムと激しくぶつかり、時にはキムを優しく包みこむ姉役を演じている。ちなみに、彼女の祖父は映画「シンデレラマン」で描かれていたボクサーのジム・ブラドックとのことで、彼女もこの映画に隣人役で出演している。
キムの実母アビー役をデブラ・ウィンガーが演じている。キムと激しく感情をぶつけ合うシーンは、強烈な印象を残す。
脚本は「十二人の怒れる男」「評決」「その土曜日、7時58分」のシドニー・ルメット監督を父に持つジェニー・ルメットが担当している。

1989年のロン・ハワード監督の作品に「バックマン家の人々」という映画があったが、本作の一家も「バックマン家」である。
前者の「バックマン家」は4世代4家族の大家族で、それぞれに悩みを抱えつつも、前向きに未来を見据えた家族であった。
本作の「バックマン家」では、実の父母は離婚し、すでにそれぞれ再婚している。白人のレイチェルの夫シドニーは、黒人である。シドニーのいとこは、イラク戦争から一時帰還している軍人である。そして、主人公のキムは薬物依存症の過去を持つ。2008年の「バックマン家の人々」は、いまのアメリカを限りなくリアルに捉えている。

本作はリハーサルなしで、手持ちカメラによりホームビデオのように撮影されている。監督は、ラース・フォン・トリアー監督の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のような、手持ちカメラによる臨場感溢れる映像効果を狙ったようだが、この撮影方法での作品の評価は、観客の好みによって、かなり左右されるように感じる。絶えず揺れる映像に、抵抗を感じる観客も少なくないのではないだろうか。
また、本作はロバート・アルトマン監督の「ウェディング」の影響を受けたとのことだが、本作で描かれるのは群像劇というよりは、ある一家のドキュメンタリーのように感じた。
音楽については、監督には「ストップ・メイキング・センス」を始めとした類まれなる音楽センスがあり本作にも有名ミュージシャンが多数出演して、作品にアクセントを加えている。

では、この作品でストーリーは、きっちりと描かれていたのだろうか。
主人公のキムは、彼女が持つ正直さで自分と家族の間にある悲劇の溝を埋めようと懸命にあがいている。しかしキムの家族たちは、そんな彼女に正面から向き合おうとしない。「監督は、そんな家族たちを一歩引いた視点で見つめている」という映画評もあるが、はたしてそうだろうか。私は、上記の小手先の映画的手法で、キムと正面から向き合っていなかったのは、監督自身だったように思う。
アン・ハサウェイの演技が素晴らしかっただけに、余計に作品を通して、キムの気持ちをはぐらかされたような憤りを感じた。

本作を観て感じたのは、テクニックに走りすぎて、ストーリーが描けていないということである。
いつまでも、肩書きに「羊たちの沈黙の」と書かれるジョナサン・デミ監督に聞いてみたいと思う。
「羊たちの鳴き声は、聞こえなくなったか?」と。
評価:★★★★★
>>公式サイト
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by movie4life | 2009-02-22 00:03 | ラ行